親鸞は承元元年(一二〇七)二月、専修念仏停止により越後国府に遠流となった。
画面は越後国府での親鸞と恵信尼の暮らしを描いている。
恵信尼は生まれたばかりの息子、信蓮房と世話をする乳母をやさしく見つめ、戸外では娘(後の小黒女房)が遊んでいる。
親鸞は別室で経論釈等を繙いている。
親鸞にとってこの時期は法然の教えを総点検し、師亡き後の親鸞独自の考えを深める、沈潜の時代といえよう。